7月に入り全国的に猛暑日が続いています。この時期、熱中症への注意が必要ですが、さらなる水分不足によって引き起こされる『夏血栓(なつけっせん)』について今回説明します。夏血栓とは、夏の暑さによって引き起こされやすい血栓(血のかたまり)のことを指す言葉で、正式な医学用語ではありませんが、医師や健康専門家の間で使われることがあります。グリーンコーヒー(焙煎前のコーヒー豆を使った飲料)に含まれるいくつかの成分は、夏血栓の予防に一定の効果が期待されています。以下にその内容を詳しく説明します。
【1】クロロゲン酸(chlorogenic acid)
グリーンコーヒーに特に多く含まれるポリフェノールの一種です。
主な作用:
・抗酸化作用:血管内皮の酸化ストレスを抑え、動脈硬化や血管老化を防ぐ
・抗炎症作用:慢性的な血管の炎症を抑える
・血糖値の上昇抑制:食後高血糖を防ぎ、インスリン抵抗性を緩和
・脂質代謝改善:中性脂肪やLDLコレステロールの蓄積を抑える
これらの働きが血液の粘度上昇や血管のダメージを予防し、血栓形成の抑制につながります。
【2】トリゴネリン(trigonelline)
グリーンコーヒーに多く含まれるアルカロイド系成分です。焙煎でほとんど失われるため、焙煎コーヒーよりグリーンコーヒーに多く残っています。
主な作用:
・血管内皮細胞を保護する作用が報告されている
・インスリン感受性の改善(糖代謝を整えることで、血液の粘度上昇を防ぐ)
【3】カフェイン
グリーンコーヒーにもカフェインが含まれています。
主な作用:
・一時的な血管拡張と血流促進
・利尿作用による水分代謝の活性化(脱水予防が前提)
カフェインは摂りすぎると逆に脱水を招く可能性があるため、水分補給と組み合わせることが重要です。
【4】マグネシウム・カリウムなどの微量ミネラル
グリーンコーヒーには体内の電解質バランスを保つのに必要なミネラルが微量含まれています。
・マグネシウム:血管の収縮と拡張を調整し、血圧安定に寄与
・カリウム:体内の水分バランスを整える
これらの作用も、夏場の血栓リスクを下げる要素の一つです。
【5】抗血栓作用の可能性に関する研究例
いくつかの動物実験や小規模な臨床試験で、クロロゲン酸の摂取による血小板凝集抑制作用や、血流改善効果が報告されています。
例:
・「クロロゲン酸は血小板の凝集を抑制し、血栓形成を防ぐ可能性がある」(Phytotherapy Research誌 2015年)
・「グリーンコーヒー抽出物の摂取により、炎症マーカーの低下と血流改善が見られた」(小規模ヒト試験・2019年)
【まとめ】
グリーンコーヒーに含まれるクロロゲン酸やトリゴネリンなどの成分には、血管内の酸化や炎症を抑え、血流を改善する作用があり、夏の脱水や高温で起こりやすい「夏血栓」のリスクを下げる可能性があります。予防には日中の水分補給もこまめにしていくことがとても大切です。
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