グリーンコーヒーの成分は脂質代謝を促進してくれる?

栄養学

運動不足や食べ過ぎにより内臓脂肪の蓄積が増えメタボリックシンドロームの原因となります。グリーンコーヒーの成分による脂質代謝促進について研究がされています。今回は科学的なエビデンスをもとに詳しく解説します。また、グリーンコーヒーと焙煎コーヒーの効果の違いについても比較します。

【1】脂質代謝とは何か
脂質代謝は、体内の脂肪(中性脂肪や脂肪酸)の合成、分解、輸送、貯蔵に関わる一連の生理機能です。脂質代謝が促進されると、以下のような作用が期待されます。

・中性脂肪やLDL(悪玉)コレステロールの減少
・HDL(善玉)コレステロールの増加
・脂肪燃焼の促進(エネルギーとしての利用)
・脂肪肝や動脈硬化などの予防

【2】グリーンコーヒーに含まれる有効成分と脂質代謝促進メカニズム

主な有効成分は「クロロゲン酸(CGA)」およびその代謝物であるカフェ酸、フェルラ酸、キナ酸などです。

(1)AMPKの活性化
クロロゲン酸は細胞内の代謝スイッチであるAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化します。AMPKの活性化は脂肪酸の酸化(燃焼)を促進し、脂肪合成を抑制することが報告されています。

参考論文:

  • Ong KW, Hsu A, Tan BK. “Anti-diabetic and anti-lipidemic effects of chlorogenic acid are mediated by AMPK activation.” Biochem Pharmacol. 2013;85(9):1341–1351.
    この研究では、クロロゲン酸がAMPK経路を活性化し、肝臓や筋肉での脂質代謝改善を促すことが明らかになりました。

(2)脂質関連遺伝子の発現制御
クロロゲン酸は、脂質の合成に関わる遺伝子(SREBP-1c, FAS)を抑制し、脂質の分解を促す遺伝子(PPARα, CPT1)の発現を促進します。これにより、脂肪の蓄積を抑制し、分解を促進する作用が期待されます。

(3)脂肪吸収の抑制
一部の研究では、クロロゲン酸が膵リパーゼの活性を阻害し、食事からの脂肪吸収を一部抑制する可能性も示唆されています。

参考:Suzuki A et al. “Green Coffee Bean Extract and its Metabolites as Potential Anti-obesity Agents.” Nutrients. 2019.

【3】ヒトでの臨床研究・エビデンス

(1)メタアナリシス(27RCT対象)

  • Asbaghi O et al. “The effects of green coffee extract supplementation on lipid profile in humans: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials.” Complement Ther Med. 2020.
    この解析では、グリーンコーヒー抽出物(CGA含有)の摂取により、中性脂肪(TG)と総コレステロールが有意に減少、HDLがわずかに上昇しました。LDLには有意な変化は見られませんでした。

(2)肥満成人対象のRCT

  • 400 mgのGCE(クロロゲン酸含有)を12週間摂取した群では、体重・BMIの減少とともに、中性脂肪、LDLコレステロールの低下、HDLの増加が見られました。
    出典:Nahas R et al. Clinical Nutrition ESPEN, 2023

(3)PCOS患者対象の研究

  • イランでのRCTでは、グリーンコーヒー抽出物(800 mg/日)の摂取が、6週間で中性脂肪と総コレステロールを有意に減少させました。
    出典:PMCID: PMC9633971

【4】グリーンコーヒーと焙煎コーヒーの違い

(1)クロロゲン酸の含有量
グリーンコーヒーは生豆であり、焙煎工程を経ていないため、クロロゲン酸の含有量が約2倍以上高いとされています。焙煎によってクロロゲン酸の大部分(50~70%)が熱分解されます。

(2)ポリフェノールの構造変化
焙煎により、一部のポリフェノールが変性・重合され、抗酸化能が減少する一方、香り成分や新たな抗酸化物質も生成されるため、健康効果の質は異なります。ただし脂質代謝に限れば、グリーンコーヒーの方が効果的とされます。

【5】まとめ

・グリーンコーヒーの主成分クロロゲン酸は、AMPK活性化、脂質関連遺伝子の制御、膵リパーゼ阻害などを通じて、脂質代謝を促進する。
・臨床研究では、TGやLDLの低下、HDLの上昇といった効果が観察されている。
・焙煎コーヒーと比べて、グリーンコーヒーはクロロゲン酸の含有量が多く、脂質代謝における効果はより高いと考えられている。

グリーンコーヒーを上手に活用することでメタボリックシンドロームの予防に期待ができそうです。

グリーンコーヒーウェルネス研究所

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グリーンコーヒーとは、焙煎前のコーヒーの生豆のことを言います。焙煎に弱いコーヒー豆の栄養素(クロロゲン酸)をそのまま摂取出来る栄養価の高いコーヒーが日本初上陸しました。おいしくて健康にも良いグリーンコーヒーの楽しみ方をお伝えしています!

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