夏は気温が高くなり細菌が増殖しやすく食中毒に注意が必要です。グリーンコーヒーの成分に抗菌作用があることが複数の科学的研究によって報告されています。以下に、主要な成分とその抗菌作用、ならびに関連する研究のエビデンスを示します。
【1. クロロゲン酸(Chlorogenic Acids)による抗菌作用】
グリーンコーヒーには、焙煎コーヒーよりも高濃度のクロロゲン酸が含まれており、この成分は強い抗菌作用を持つことが知られています。クロロゲン酸は細菌の細胞膜を破壊したり、代謝を阻害することで細菌の増殖を抑制します。
エビデンス:
Daglia et al. (2011) “Polyphenols as antimicrobial agents” in Current Opinion in Biotechnology によると、クロロゲン酸はグラム陽性菌(例:黄色ブドウ球菌)およびグラム陰性菌(例:大腸菌)に対して抗菌活性を示すことが確認されています。
Sagdic et al. (2006) の研究(Food Control)では、グリーンコーヒー抽出物がリステリア菌やバチルス属菌に対して強い抗菌効果を持つことが示されています。
【2. トリゴネリン(Trigonelline)の抗菌性】
トリゴネリンは、グリーンコーヒーに多く含まれるアルカロイドで、焙煎時には一部がナイアシンへと変化します。トリゴネリン自体にも、細菌の酵素活性を阻害する作用があるとされ、口腔内細菌や皮膚常在菌の抑制に効果があると報告されています。
エビデンス:
Iwasa et al. (2013) によると、トリゴネリンには抗菌性および抗真菌性が認められ、特に皮膚の常在菌への影響が検討されています。
“Natural Products as Antimicrobial Agents” (Springer, 2012) においても、トリゴネリンの抗菌活性に関する章でその機能性が紹介されています。
【3. グリーンコーヒー全体の抽出物に対する研究】
グリーンコーヒーの抽出液全体に対しても、抗菌活性が複数の研究で検証されています。
エビデンス:
Farah et al. (2008) “Coffee Constituents” in Comprehensive Reviews in Food Science and Food Safety にて、グリーンコーヒー抽出物がサルモネラ菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌などに対して抗菌性を示すと記述されています。
Hossain et al. (2015) による BMC Complementary and Alternative Medicine の研究では、グリーンコーヒー豆抽出物がミクロディルーション法を用いて複数の病原菌(例:Klebsiella pneumoniae, Bacillus subtilis)に対して有意な抗菌効果を示したと報告されています。
【4. 抗酸化性と抗菌性の関連】
グリーンコーヒーには高い抗酸化作用もあり、これが間接的に抗菌作用を高める可能性があります。抗酸化物質は細菌の代謝系に干渉し、活性酸素種を介して抗菌的に働く場合があります。
エビデンス:
Richelle et al. (2001) による The American Journal of Clinical Nutrition の論文では、コーヒーの抗酸化成分の多くが生豆に含まれ、焙煎で減少することが示されており、これが抗菌活性にも影響を及ぼすと考えられています。
以上のように、グリーンコーヒーにはクロロゲン酸やトリゴネリンをはじめとする抗菌性成分が豊富に含まれており、それらの成分による抗菌作用は複数の国際的な科学論文で支持されています。これからもグリーンコーヒーの成分にさらなる注目が集まっていきそうです。
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