ファイトケミカル(フィトケミカル)とは、植物が紫外線や昆虫、病原菌などの有害な環境から身を守るために作り出した色素や香り、辛味、酸味などの成分の総称です。 phyto(ギリシャ語)──「植物」
chemical(英語)──「化学物質」 を組み合わせた言葉です。 「化学物質」ときくと体に悪いイメージがあるかもしれませんが、ファイトケミカルは体に必要な物質で、五大栄養素や食物繊維と並ぶ重要な成分として知られています。そのために第七の栄養素とされることも多くなってきました。
・五大栄養素 ── たんぱく質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラル
・六大栄養素 ── 五大栄養素 + 食物繊維(第六の栄養素)
・七大栄養素 ── 六大栄養素 + ファイトケミカル(第七の栄養素※)
※. ファイトケミカルは「機能性成分」です。「栄養素」と呼ばれることもありますが、栄養学上の「栄養素」という定義からは外れる成分です(非栄養素)。栄養素に分類されていないため、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2020年版)」においても摂取基準値は設けられていません。

ファイトケミカルは、人間の健康にもさまざまな効果があるとされています。 例えば、抗酸化作用によって、老化や生活習慣病の予防に役立つと考えられています。 また、免疫力向上、がん予防、脳の健康維持、腸内環境の改善などにも効果があると期待されています。 ファイトケミカルは、主に植物性の食品に含まれています。野菜、果物、豆類、穀物、海藻、お茶、ハーブなど、さまざまな植物性食品に、さまざまな種類のファイトケミカルが含まれています。 ファイトケミカルを多く含む食品をバランスよく摂取することで、健康的な生活を送ることに役立つと考えられます。
【ファイトケミカルはどのような食品に多く含まれている?】 具体的には、以下の食品に多く含まれています。
- 野菜 : ブロッコリー、キャベツ、カリフラワー、ニンジン、トマト、ニンニク、ショウガ
- 果物 : リンゴ、バナナ、みかん、レモン、グレープ、パイナップル、マンゴー、アボカド、ブルーベリー、カシス
- 豆類 : 大豆、小豆、エンドウ豆、インゲン豆
- 穀物 : 玄米、雑穀、全粒粉
- 海藻 : わかめ、昆布、ひじき、ノリ
- 飲み物 : コーヒー、ワイン、緑茶、紅茶、ウーロン茶
- ハーブ : ローズマリー、タイム、セージ、バジル
などの食品にファイトケミカルが豊富に含まれるといわれています。
【ファイトケミカルはどのように分類されている?】 ファイトケミカルの分類には諸説ありますが、以下のように大きく分類することができます。
- ポリフェノール ポリフェノールは、植物に広く分布する最も一般的なフィトケミカルです。 抗酸化作用が強く、老化や生活習慣病の予防に役立つと考えられています。
- カロテノイド カロテノイドは、植物の色素として知られています。 代表的なものに、ニンジンやトマトに含まれるβ-カロテン、緑黄色野菜に含まれるルテイン、アスタキサンチンなどがあります。 抗酸化作用や免疫力向上、がん予防などの効果が期待されています。
- 硫黄化合物 硫黄化合物は、アブラナ科の野菜や香辛料などに多く含まれています。 抗酸化作用や免疫力向上、がん予防などの効果が期待されています。
- テルペノイド テルペノイドは、植物の香り成分として知られています。 代表的なものに、柑橘類に含まれるリモネン、ミントなどに含まれるメントールなどがあります。 抗酸化作用や免疫力向上、がん予防などの効果が期待されています。
- 多糖類 多糖類は、食物繊維の一種です。腸内環境の改善や、血糖値の上昇を抑えるなどの効果が期待されています。
これらのファイトケミカルは、単独で摂取するよりも、複数の種類を組み合わせて摂取することで、より効果的と考えられています。 これらの食品をバランスよく積極的に毎日摂取するように心がけましょう。

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